進化型の長襦袢「き楽っく」とは?|メリットとデメリットを徹底解説

こんにちは、すずのき編集部です。
近年、すずのきで定番のカジュアル用長襦袢となりつつある「き楽っく」をご存知でしょうか。
従来の長襦袢より圧倒的に着付けと着心地が楽ということで、今、爆発的に売れているこの商品なのですが、今回はこちらの商品のメリットとデメリットについて解説いたします。
き楽っくとは
こちらは、和装ブランド「襟の衿秀」が手がける進化型の長襦袢「き楽っく(きらっく)」です。
着付けの便利さと美しい衿元、洗濯の手軽さを兼ね備えたアイテムとして注目されています。
以下に、その特徴と魅力を詳しくまとめました。
トピックス:「き楽っく」のメリット&デメリット
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1.「き楽っく」のメリット
1 機能的で着やすい設計
半衿がファスナー式で簡単に付け替え可能となっているので、わずか約10秒でセットできます。
YKK製の柔らかいソフトファスナーを使用しているので、肌に当たらず着心地も快適です。
また、袖はマジックテープ式の替え袖で、異なる裄丈(袖の長さ)にも対応可能です。
約3cm前後の調整ができるため、着物に合わせて調節が簡単です。
替え衿・替え袖付きのフルセット販売のため、購入後すぐに着用でき、準備時間が短く済みます。
2 機能と着心地に優れるポイント
TPOに合わせて衿や袖のデザインを変えられるため、礼装からカジュアルまで幅広く使えます。
袷用(秋〜春向け)と夏単衣用の「き楽っく涼」があり、通気性の良い晒(さらし)使用の袷用、夏に最適な楊柳素材を使った夏用が選べます。
バイヤス芯を使った広衿仕立てで、衿が浮かず美しい衿元に。衣紋も背中の紐通しで2段階に調節でき、好みの抜き具合に調整しやすいです。
脇にはガーゼの汗取り付きで快適さを確保。裾除け部分はキュプラ(ベンベルグ)素材でさらりと肌触り良く、着崩れしにくく動きやすさにも配慮されています。
洗濯機で丸洗いOK(ネット使用)。本体・袖・衿を分けて洗えるので、お手入れが非常に楽です。
3 着付けがぐっと楽に
従来必要だった補正具(胸紐、伊達締め、コーリンベルト、衿芯など)が不要で、時間も手間も大幅に短縮できます。 
初心者の方でも衿合わせや衣紋の抜き加減が安定しやすい構造になっていて、仕上がりがきれいです。
こういった観点から、「き楽っく」はとても便利なものなのですが、いくつかデメリットもあります。
次にそのデメリットと使用の際の工夫や注意点などをまとめました。
2.「き楽っく」のデメリット
1 完全に寸法が合わないことがある
仕立て上がり品なので、自分の体型にピッタリというわけにはいきません。背が高い人や低い人、腕が長い人などは多少の不具合を感じる場合があります。
2 衿の形が固定されやすい
半衿を付け替えやすいのは利点ですが、衿まわりの美しさは普通の長襦袢より微調整がしにくいと言われます。特に礼装など、衿元をきっちり決めたい場面では不向きと感じる人もいます。
3 耐久性の問題
ファスナーや面ファスナーを使う部分があるため、長年の使用で摩耗したり壊れるリスクがあります。通常の長襦袢より消耗しやすい箇所があるのは否めません。
4 格式面での不安
普段着や小紋、紬には問題ありませんが、格式が高い場面(留袖や第一礼装など)では、人によって「簡易的すぎる」と感じることもあります。着物警察的に見られることを気にする人も。
5 価格がやや高め
普通の仕立て上がり長襦袢よりも便利機能がついている分、価格が少し高めです。そのため「長く使うなら普通に仕立てた方がいい」という意見もあります。
購入を検討中の方は、以下のような基準を参考にしてみてください。
3.「き楽っく」の向き不向き
き楽っくが合う人
・着物を普段からよく着る人
着付けの手間を減らせるので、日常的に着たい人に便利。
・着付けが苦手/初心者の人
襦袢の着崩れが少なく、衿元も安定しやすいため、着物デビューに向いています。
・半衿をよく変えたい人
半衿がマジックテープ式なので、手縫い不要で簡単に付け替えられます。
・洗濯を気軽にしたい人
上下分かれているので洗濯機で洗いやすく、乾きも早いです。
・旅行やお出かけが多い人
コンパクトに分けて持ち運べるため、出先での着付けにも便利。
き楽っくが合わない人
・体型にこだわりがある人/寸法をぴったり合わせたい人
既製品なので、細かい寸法調整はできません。
・礼装やフォーマルな場での使用が多い人
留袖や訪問着など、格式ある着物には仕立て長襦袢の方が安心感があります。
・衿元の美しさに特にこだわる人
ファスナー式の構造ゆえ、普通の長襦袢より衿の細かい調整が難しい場合があります。
・長持ちさせたい人
ファスナーやマジックテープの消耗が避けられないため、20年30年と使うには不向き。
まとめると、便利さ・気軽さを重視する人が「き楽っく」向きであるのに対して、格式・美しい仕立てを重視する人は従来の長襦袢向きであると言えるでしょう。
普段着用の長襦袢として「き楽っく」(ポリエステルや洗える素材)、礼装用として仕立て長襦袢(正絹)を持っておくと、使い分けできて一番安心です。
とはいえ、極力便利さをフォーマルシーンでも取り入れたいところです。そこで、「き楽っく」がどこまで礼装の長襦袢として通用するのか線引きをしてみました。あくまで参考としてご活用ください。
4.「き楽っく」はどこまで礼装で通用するのか
許容されやすい場面
セミフォーマル程度
訪問着・付下げを使った「お食事会」「観劇」「習い事の発表会」など
格式を重んじすぎない場では問題なく使えます。
友人や家族中心の場
結婚式でも、親族ではなく「友人出席」程度なら、き楽っくでも気づかれにくいです。
洗える素材の着物に合わせる場合
ポリエステルや洗える訪問着などに合わせるなら、長襦袢も「き楽っく」で十分実用的。
避けた方がいい場面
第一礼装(黒留袖・色留袖・振袖)
格式が高いため、き楽っくは「簡易的すぎる」と感じる人も。特に親族や主役側は控えた方が安心。
格式を強く重んじる場(結婚式の親族、格式ある式典など)
衿元をきっちり決める必要があり、仕立て長襦袢が推奨されます。
着物に詳しい人が多く集まる場
「衿元が少し浮いてる?」など細かく見られる可能性があります。
5.「き楽っく」礼装活用の工夫ポイント
「きらっく」を礼装活用する場合に工夫すると良いとされるポイントは以下の通りです。
① 半衿を高級感あるものに
正絹の白半衿、塩瀬・縮緬素材などを使うと一気に格が上がります。
刺繍半衿(白地×白刺繍や銀糸入り)も礼装向き。
→ 「半衿の質感」で簡易感をカバーできます。
② 衿元の調整を丁寧に
き楽っくは衿の抜き加減がやや固定されやすいので、衣紋抜きや衿芯をしっかり入れて調整。
襟合わせの角度を浅めにすると、礼装らしい上品さが出ます。
③ 下半身は見えないので安心
き楽っくは上下分かれていても、着物を着れば下半身は全く見えません。
礼装で見えるのは「衿と袖口」だけなので、そこをきっちり整えれば問題なし。
④ 帯・小物で格を引き上げる
帯揚げ・帯締め・草履バッグなどを正礼装用にすれば、長襦袢の簡易さは目立ちません。
特に帯揚げと帯締めを上質にすると「全体の格」がぐっと上がります。
⑤ 長時間の着用には注意
ファスナー部分が少し固く感じることがあるので、結婚式や式典のように長時間着る場合は事前に着心地を試しておくと安心です。
「礼装に絶対ダメ」ということではないので、工夫次第で “普段派兼礼装派” の人も「き楽っく」を便利に使用することが可能です。
以上、ご参考になりましたでしょうか?
下記、着物大辞典では歴史やTPOなども紹介していますので合わせてご参考にしてください!
→ 最新の着物の楽しみ方はこちらの記事で紹介しています
さいごに
便利な長襦袢「き楽っく」はこんな方におすすめです。
着付けの時間を節約しつつ、美しい仕上がりを目指したい方
半衿や袖を気軽に替えて着こなしを楽しみたい方
複数の着物に対応できる便利な長襦袢が欲しい方
洗濯機で自宅ケアしたい&汗対策もバッチリしたい方
袷と単衣・夏物を1枚で兼用したい方 など
メリットとデメリット両方の側面を持ちながらも、一枚手元にあると活躍してくれること間違いなしのこの商品。
ピンと来た方は、浅草で行われる【きもの紀行in浅草2025】にてご試着体験していただけますので、ぜひお近くの店舗にてご予約ください。
【きもの紀行in浅草2025】についてはこちらの記事で紹介しています。↓
【お手入れ相談会】について詳しく知りたい方はこちら。↓
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