着物・浴衣の衿の種類と特徴|広衿・バチ衿・棒衿の違いと選び方

すずのき編集部です。
夏祭りや花火大会といえば、8月のメインイベント!昨今では9月以降にも花火大会などを予定している地域も多くなっております。
そんな時に着物や浴衣でお出かけするときのご参考にどうぞ!
着物・浴衣の衿(えり)は、形や仕立て方によって見た目の印象が大きく変わります。
礼装向きの広衿(ひろえり)、普段着に多いバチ衿や棒衿など、それぞれに特徴や用途があるのをご存じでしょうか?
この記事では、代表的な衿の種類と違い、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
衿は着物の印象や用途、格にも関わる重要な部分ですので、覚えておくと役に立つこと間違いありません。
トピックス:着物や浴衣の衿(えり)の種類とは?
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1.広衿(ひろえり)
衿幅を広く仕立て、着るときに二つ折りにして着用する衿のことです。
礼装や準礼装の着物(訪問着、振袖、色無地など)によく使われます。
折り返しがしっかりしていて、きちんと感が出るのが特徴です。
このため、昨今ではあえて浴衣の生地を広衿仕立てにして夏着物風に着てお出かけすることがあります。
また、浴衣を着たときに胸元が痩せて見えてしまう方にも浴衣の広衿をおすすめすることがあります。
現代の女性用着物はほとんどが広衿仕立てとなっているので、この衿のかたちを見たことがある方は多いと思います。
2.バチ衿(ばちえり)
「バチ衿」という名前は、形が三味線の撥(バチ)に似ていることから名付けられたとされています。
男性着物は基本的にバチ衿が多く、スッキリと直線的な衿元となります。礼装(紋付羽織袴)の場合も衿の形は変わらずバチ衿です。
衿幅が最初から広くなく、折らずにそのまま着用する衿のことで
カジュアル着物(小紋、木綿、ウールなど)に多く、簡単に着ることができるのが特徴です。
軽くて扱いやすく着やすい衿の仕立てになっていますが、礼装には不向きな仕立て方です。
3.棒衿(ぼうえり)
棒衿(ぼうえり)は、衿幅が一定で、バチ衿同様に折り返しいらない衿のことです。
棒衿は男性着物にも多く、シンプルな直線的衿元を作りやすいので、動く作業や舞台衣装にも適しています。
衿の幅が着物の上から下まで同じ幅でまっすぐなつくりが特徴です。
折り返しがない分すっきりして軽いく、主にカジュアル着物や作業着(浴衣、木綿、ウール、紬など)に使われます。
4.それぞれのメリット・デメリット
1.広衿
礼装や準礼装の着物(訪問着、色無地、留袖、振袖など)に使われるのが一般的です。
カジュアル着物でも高級仕立ての場合は広衿になることもあります。
メリット
折り返しがあることで格式高く見えます。
衿芯を入れることで着姿が整います。
半衿(はんえり)がきれいに見える角度を作りやすいです。
デメリット
折って着るため、着付けに少し手間がかかります。
棒衿やバチ衿よりも布を多く使うため重くなります。
暑い季節はやや熱がこもりやすいです。
2.バチ衿
カジュアル着物(小紋、紬、木綿、ウール、浴衣など)に多いです。
動きやすく軽いので、日常着やお稽古着、仕事用着物にも向きます。
男性着物の多くもバチ衿仕立てです。
メリット
衿を折らないので着付けが簡単です。
布が少ない分、軽く涼しいです。
普段着や作業用に向きます。
デメリット
礼装には不向き(格式感が出にくい)です。
衿の角度や高さを出しづらいので、広衿ほど華やかな印象になりません。
3.棒衿
浴衣や木綿着物、踊り用着物、作業着など、カジュアルかつ実用的な場面で多く使われます。
男性用の普段着物にも多いです。
メリット
軽くて動きやすいです。
衿を折らないため着付けが簡単です。
布地が少なく済むので仕立てコストが低いです。
デメリット
格式が低く、礼装には不向きです。
広衿のような重厚感や立体感が出にくいです。
補足:バチ衿と棒衿
バチ衿と棒衿のかたちはよく似ていますが、ストレートな衿のつくりである棒衿の方がより軽装で実用的な場面に適しているといえます。
5.着姿の違い
バチ衿の浴衣の着姿
広衿の浴衣の着姿
広衿+半衿の浴衣の着姿
以上、ご参考になりましたでしょうか?
下記、着物大辞典では歴史やTPOなども紹介していますので合わせてご参考にしてください!
→ 最新の浴衣の楽しみ方はこちらの記事で紹介しています
さいごに
「絶対にこうでなくてはならない」という決まりか少ないからこそ、自分の好みにあわせて衿の仕立てを選んでいきたいですね。
「新しく着物を仕立てるけど、衿のかたちはどれがいいのかな?」
「家にあるこの着物の衿のかたちはどれなんだろう?」
「衿のこの部分は直せるのかな?」
などの衿をはじめとした着物の仕立てについてお悩みの方は、ぜひお近くのすずのき店舗までご相談ください。
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